<< 活動日誌の目次に戻る
【04.07.22】シャープ亀山工場の正規社員はわずか27%
73%の雇用者は業務請負会社から
市の資料によれば、5月現在、シャープ亀山工場で3,111人が働いています。
ところが内訳をみると、シャープの社員は831人で全体の26.7%に過ぎません。その上、社内異動(多気町や天理市などの工場からの異動)が699人で新規採用はわずか132人という実態です。工場全体の4%しか新たに雇用した正規社員はいないのです。
労働条件が悪く、不安定な雇用の業務請負が支えている
一方、雇用者の73%、2,280人はシャープの社員ではなく、シャープ亀山工場の中で働く業務請負会社の雇用者なのです。
業務請負というのは、請負会社や人材派遣会社が企業から製造業務や営業を丸ごと受託するアウトソーシング(業務の外部委託)の一形態です。
つまりいくつかの請負会社がシャープから業務を委託され、シャープの工場内で自ら雇った人を働かせているのです。
そしてこの業務請負で働く人達の労働条件は悪く、低賃金で身分の保障も不安定なため長続きせず、いつも求人をしているという状況です。
大企業の働かせ方が大きく変化している
こうした実態はシャープだけでなく、多くの企業でみられることです。
高度経済成長時には、企業を誘致すれば正規社員が結構雇用され、それなりに地域に貢献したものでした。それは企業がある程度、正規社員を雇用していたからです。
ところが労働法制が企業の都合に合わせ変えられ、業務請負や人材派遣が法律的に認められるようになったため、正規社員をどんどん減らし、業務請負や人材派遣に頼るという異常な事態がどの企業でも進行しているのです。
こういう雇用では、労働条件が不安定なため地域での定住も難しく、請負や人材派遣の雇用者は働き先が変わるごとに住民票をいちいち動かさないといわれています。つまり、市内に住んだとしても住民税は入らないということです。
県や市が宣伝する「雇用が増え、住民が増える」はこんな内容か?
こうしてみてくると県や市が合わせて135億円もシャープに優遇措置をし、「雇用が増え、住民も増え税の増収も図られる」というのは、ちょっと違うのではという疑問が湧いてきます。
雇用はシャープの正規社員ではなく、請負や人材派遣が大部分を占めるため雇用が増えても、不安定な低賃金労働でしかなく、こうした不安定雇用に頼れば、市内での定住も進まず、結局、大企業のもうけの手助けをしているだけということになってしまわないのか、大いに疑問です。
<< 活動日誌の目次に戻る